経済背景
持続的なインフレ圧力に対応するため、政府は第3四半期に再び利上げを行い、基準利
率を6.56%にまで引き上げた。これを受けて、固定資産投資は減少し、今年1月から8月
の増加率は25%とペースダウンし、一部の経済成長の速度を引き下げる結果となった。
消費は依然として堅調であるが、グローバル経済の激しい動きを背景に、経済の両輪の
一つである貿易が増加ペースを維持できるかどうかが懸念された。経済の先行指標であ
る購買担当者景気指数は、4月から徐々に下落し8、9月に反発したが、これは主に季節
的な要因によるものであった。同指数の弱さは、一定期間の経済の見通しに対して慎重
な姿勢であることを意味している。
不動産分野では、各都市の不動産価格の上昇が徐々に緩やかになった。70の大・中都市
の不動産価格指数から見ると、不動産価格は横ばいまたは下落している都市数が次第に
増加し、6月の26都市から7月には31都市、8月には47都市にまで増加している。不動産
価格が安定していれば、政府が厳格な調整政策を講じる可能性は低くなるが、中国人民
銀行は年末まで慎重な金融政策を続ける可能性が高い。欧米経済の動向と、貿易の増加
とインフレ抑制目標を同時に達成するために、人民元は安定的な上昇を維持するであろ
うが上昇幅は小幅に留まるであろう。全体的に見ると、金融政策は今後基本的には一定
期間不動産マーケットに有利に働くものと思われる。
市場パフォーマンス
マーケットは上半期に続いて全体的に上昇した。特に、オフィスマーケットは各地で基
本的に上昇傾向を維持した。そのうち、一級都市の賃料は前期の高水準をベースに引き
続き勢いよく推移し、平均上昇幅は4~9%となった。オフィスコストの急激な上昇で選
択肢が限られるなか、広いオフィス面積を必要とする外資系企業は非中核エリアのオフ
ィスを求めた。商業施設マーケットについては、北京・瀋陽・武漢において、10万m2を
超える新規物件の供給があったものの、順調に消化され、空室率の顕著な上昇は見られ
なかった。都市マーケットの大半で、需要が力強い伸びを見せ、新規契約数も著しく上
昇した。
住宅マーケットについては、不動産税の試験導入を実施しているためにいまだ購入制限
措置がとられていない重慶を除き、当リサーチの対象マーケットではほぼ住宅購入制限
令がとられている。また、今年夏頃に調整状態がさらに厳しくなり、購入制限の執行条
件も厳格に変更された。高級住宅マーケットの成約は、この影響を受けて販売件数が著
しく減少したが、価格は依然として堅調であり、青島・杭州・南京のみ価格下落の兆し
が見られた。物流マーケットは着実な上昇を続けた。特に、内陸マーケットの生産コス
トの低さから、二級都市の新興物流施設の需要が安定して増加している。各地域間の重
要な結節点である武漢・重慶等の都市はサプライチェーンのカギとなっており、賃料の
上昇は顕著である。